父の後を継ぎ、20代で経営者になった高専卒業生。
工場を訪問し恩師が感慨。

原発関連部品製造から、オフロード四輪駆動車のパーツ専門メーカーに転換したワケ

 長田区苅藻通にある有限会社エーシン産業は、人気のスズキ ジムニーの専用パーツを製作する専門メーカー。代表取締役社長は創業者の三男である有田周平氏。現在30歳の若き経営者です!

 「技術者である父が原子力発電関係の部品製造会社として平成元年に創業しました。ある時知り合いに頼まれてジムニーのパーツを大量生産したのですが、完成後、発注者と連絡がつかなくなり、困り果てた両親は二人で全国各地のショップを回って手売りをしたそうです」

 製品を気に入ってくれたショップと偶然の出会いがあり、そこからジムニーのパーツ専門に製造に取り組むことになったとのこと。

 「ジムニーは根強いファンが多く、専用パーツを販売するショップが全国にあります。弊社では全部で90を超えるアイテムを製作しており、主力製品はステンレスラテラルロッドやトレーリングアームなど。スケッチ程度のものがあれば、図面から切削加工、曲げ、溶接など一気通貫で製作できるのが強みです」

高専時代は親友と共に勉強に燃える日々。「変わってないな」と笑顔の恩師。

 有田さんは平成21年に神戸市立工業高等専門学校 機械工学科に入学。

 「ものづくりに興味があったので人一倍技術を学びたい気持ちが強かったです。同級生にすごくできるやつがいて家も近かったので仲良くなり、切磋琢磨していました。試験期間の夜中に連絡すると相手からすぐ返信があるので『まだ勉強してるんか!』と張り合って寝ずに勉強したり」と有田さん。

 今回の訪問に同行してくださった赤対秀明氏は産振財団のシニアアドバイザーであり、神戸高専の元教員。有田さんとは当時の教え子と恩師という仲です。

「当時から有田君は積極的に教えを乞いにきたり、先生の方が圧倒されるくらいの存在だった。熱いキャラなのは今も変わってないな」と笑顔。思い出話は尽きない様子です。

 高専卒業後は大手機械メーカーに就職するも、1年半で退職しエーシン産業に入社。

「小さい頃、工場で機械加工をしている父親の背中を見て『カッコいいな!』と感動したのが家業を継ぎたいと思ったきっかけ。入社して父から加工技術と『人と会う時はいつも笑顔で』ということを教えられ、26歳で代表取締役に就任しました」

それ以来、長兄の将規(まさのり)氏とお母様が取締役として有田さんを支えながら経営を続けています。

 社員の方たちも若いメンバーばかり。有田さんが自ら工程を分解して仕事を教えているとのこと。シンプルな作業からスタートするため、未経験でもすぐに仕事を覚えられるそうです。

若手経営者の勉強会で切磋琢磨。最年少理事でムードメーカー。

 代表取締役に就任してまもなく、取引している商社社長のご子息に誘われ「神戸市機械金属工業会 青年経営研究会」に入会。45歳以下の市内製造業38社の若手経営者が集う同会では、理事に任命され毎月の活動に携わってきました。最年少でムードメーカーの有田さんがいると、理事会も明るくにぎやかな雰囲気に。

「神戸の先輩経営者の方々とつながりができたのが貴重な財産。経営の勉強はもちろん、仕事上でも助かっています」

 3月で理事の任期は終了しましたが、会員としてこれからも青研会を盛り上げてくれるでしょう!

画像は、(一社)神戸市機械金属工業会Instagramからお借りしました。

取材を終えて

青研会でお会いした際に「僕、神戸高専卒業生なんですよ!赤対先生にお世話になってました!」とおっしゃったのがきっかけで実現した今回の企業訪問。

「教え子が経営者としていきいき働いている現場を見ることができてうれしい」と赤対シニアアドバイザーも感慨深い様子でした。

 お父様から受け継いだものづくりへの熱い思いと高専で切磋琢磨した知識、そして社長と社員全員の明るい笑顔がエーシン産業 発展の原動力です!

自慢の製品を手に、社員の方たちと笑顔で!

《企業概要》

企業名:有限会社エーシン産業

所在地:神戸市長田区苅藻通2-7-14

代表取締役社長:有田周平氏

この記事を書いた人:産業イノベーション推進部  ナカムラ