「電車用電磁弁試験機の改善」で令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞されました(株式会社カコテクノス)

(左)原田様 (中央)藤井係長 (右)加古社長

産振財団の「神戸発・優れた技術」の認定企業である株式会社カコテクノスの原田様が「令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰の創意工夫功労者賞」を受賞されました。

企業情報

企 業 名:株式会社カコテクノス
代表取締役:加古 泰三 氏
従 業 員:239名
事業内容:電鉄事業、電力事業、産業機器事業
ホームページ:https://www.kako.co.jp/

受賞までの経緯

同社は全社的な創意工夫活動を長年実施しており、各自の業務における創意工夫、図面改良に取り組んでいる。件数、評価ランク等独自の基準に基づいて賞金を授与し、上位者には年に一度、創意記念式典にて社内表彰を行っている。また、小さなことでも改善に心掛け、提案する文化を醸成している。その結果、年間に1人10件以上の創意工夫案の提出があり、その中で特に優秀であった今回の受賞した創意工夫では、兵庫工業会の職域における創意工夫者表彰に応募し、賞を受賞後、科学技術分野の文部科学大臣賞に推薦され、表彰に至った。

受賞内容

受賞された創意工夫功労者賞の受賞業績は「電車用電磁弁試験機の改善」。
同社は電車用制御装置や電力用制御機器等の製造を行っており、今回は電車に使用する電磁弁の試験機の開発を行った。当該電磁弁は電車空気回路の開閉に使用するもので、従来の組立・試験に必要な作業者の熟練性依存を軽減出来るようにシンプル化やビジブル化(デジタル化など)を取り入れた試験機を開発。
考案点としては「作業集約化」と「作業改善」である。「作業集約化」では、2つの試験機を使用していたところを今回開発した試験機1つで一括作業できるようにした。「作業改善」では、大きく5つの考案点がある。①ネジ締めで固定していたところをエアシリンダーでワンタッチ固定化を実現。②機種ごとに対応できるアダプタのシンプル化とマグネットによるワンタッチ固定化を実現。③各作業で発生するレギュレータによる圧力調整を電空調圧器により自動化。④試験機にキャスタを取り付け自由に移動できるようにした。⑤アナログ式圧力計をデジタル圧力計に変更し、読み取りのバラツキを低減させた。
その結果、①作業スペースの削減。②マテリアルハンドリングの軽減。③品質の安定化。④作業時間の短縮。⑤作業の熟練性排除(熟練作業者以外の作業者も作業が可能)に繋がった。

受賞者の声

自分の創意工夫がこのような素晴らしい賞を受賞し、本当に驚きました。
今までの試験機では、熟練した作業者しか使用できず、「誰でも使える試験機」を開発したいと考えました。開発までの大まかな道筋はありましたが、開発を進める中で、様々な課題が生じ、どうすれば良いか分からないことが多く出てきました。その際には、上司である藤井係長に相談し、他の部署に相談できるように調整していただいたことで、課題に対して複数人で取り組める環境が出来、装置の完成にこぎつけました。このように今回の開発は私一人の力ではなく、協力していただいた方々と新しいことに積極的に取り組む社風のおかげだと思っています。
これからも他の試験機などの改善・開発に取り組んで行き、社会のインフラを「止める技術」で支えていきたいです。」