「神戸発・優れた技術」認定企業のサービスが人命を救う!

今年の春頃に食べ物でのどを詰まらせた高齢の女性を女子高校生が応急処置をし、命を救ったニュースをご存じでしょうか?テレビやWEBニュースなどで報じられ話題になりました。生徒たちが応急処置に活用したスマートフォンで現場の映像を消防の指令室に送る「Live119」という映像システム、実は「神戸発・優れた技術」認定企業である株式会社ドーンが開発したシステムなんです。今回は「Live119」を開発した株式会社ドーンに取材に伺いました。

株式会社ドーンについて


資本金:3億6,395万円
設 立:1991年6月
沿  革:
・2022年4月に東京証券取引所スタンダード市場に移行
※2002年6月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(のちの東京証券取引所JASDAQ)市場に株式公開

住所(本社):
兵庫県神戸市中央区磯上通 2-2-21三宮グランドビル5F

事業内容:
・地理情報に関連づけた各種クラウドサービス(SaaS)の 
 開発・提供
・地理情報システム又は地理情報に関連づけたシステム
 (アプリケーションソフトウェア)の開発・保守
・地理情報システム構築用ソフトウェアライセンス販売

ホームページ:
https://www.dawn-corp.co.jp/company/outline/

神戸市産業振興財団との関係について

同社は設立2年後の1993年から1998年の5年間、神戸市産業振興センターのインキュベーションオフィスに入居しておられました。入居時には専門家による相談や交流会・勉強会への参加機会等を兼ね備えた、廉価なオフィスの提供により同社の創業期を支援させていただきました。また、2001年には国内トップレベルの優れた技術を認定する「神戸発・優れた技術」にも認定されています。

インキュベーション卒業後の当時の写真(中央の人物は同社の創始者である滝野氏)

通報現場の状況を撮影し、リアルタイムに伝送することを実現した「Live119」

Live119は新しい通報システムであり、消防指令センターは、通報者が撮影する映像から通報現場の詳しい状況(傷病や火災の様子)を確認し、音声による 119 番通報だけでは把握が難しい視覚的な情報をリアルタイムで収集することができます。救急隊への映像転送が可能であるため、消防指令から通報者への効果的な口頭指導を支援できます。
(Live119紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=eVHTQIQ-Rb0)

使用の流れ
Live119のデモンストレーション

同サービスは2020年7月の提供開始以来、各地の消防本部で導入が進んでおり、現在では消防人口カバー率が39.6%まで広がっています。また、2024年7月からAED位置情報伝送機能や共有機能の強化、多言語対応など多くの機能が追加されており、大幅なバージョンアップも実施されています。また、様々なメディアでも取り上げられており、今後の普及拡大が見込まれています。
※Live119を導入済の消防本部管轄人口に対して、日本国の人口で除した割合

【掲載リンク】
「Live119」を活用し救命 女子高校生2人に感謝状 東京 昭島
「119番通報」にスマホ映像 救急車到着まで的確な指示
熱中症対策 “搬送が増える前に「Live119」を知って     など

開発の経緯

同社は2007年5月から自治体の庁内業務に対応したクラウド型の地図配信サービス事業の提供を開始し、翌年の2008年から言語による発話が難しい人を対象にした119番通報システムである「NET119」のサービスを開始し、全国400近くの消防団体に導入されています。NET119サービスを開始したことにより、通信指令台メーカーなどとの接点ができ、議論できる機会が増えました。そこで、通報現場と消防センター間を映像で情報共有するアイデアを話したところ、「そのサービスを作った方が良い!」と言われたことと、iPhoneがWebRTCをサポートすることが契機となりLive119の開発に至りました。

今後の展望

現在は消防・警察・自治体・防災・社会インフラ保全などで活用されていることが多いですが、これからは民間企業向け映像通話サービスとしての拡大を図っています。2022年3月からは民間等向けの「Live-X」のサービス展開も開始しており、様々な業種の企業に導入されています。今までの活用事例を基に、顧客サポートや現場支援、情報共有等の業務効率化及び各企業のサービス向上に向けた提案が可能となっています。これからのDX化への加速に伴い、当サービスはより普及拡大していくことが予想されます。

同社の理念でもある「社会課題に挑戦し新しい価値を創造する」のもと、新しい課題に対して新世代のソリューションの創造をおこなっていくとのことであり、同社の今後の動きに注目していきたいです。

エンジニアのアイデアから人命を救うシステムが生まれる

<この記事を書いた人>

産業イノベーション推進部 フジオカ