ふるさと納税返礼品・新商品開発補助金 採択企業【Vol.1】

熾り(いこり)株式会社 <ブランド名:KOBE ZAC IMOCK(神戸ザック イモック)>

企業名: 熾り(いこり)株式会社
代表者:前川 拓史 氏
ホームページ:http://www.kobezac-imock.net/
従業員数:11名
ザック・バッグ類の製造、小売

今回は、令和4年度ふるさと納税新商品開発補助金の採択企業である  熾り株式会社<ブランド名:KOBE ZAC IMOCK(神戸ザック イモック)>様の長田区にある工房を訪問した。

産振財団の100年経営事業(事業承継)を活用し、2年前に現代表の前川氏が創業者から受け継いだザックブランド「KOBE ZAC IMOCK」。技術や機能性を生かして登山用に手掛けたザック(登山用リュックサックのこと)は、神戸市長田区の工房で企画から型紙構成、手裁断、動力ミシンによる縫製までを一貫生産でおこなっている。

登山用以外にも、街中でも持ち歩けるタウンユース向け商品を開発・販売している。
今回、ふるさと納税返礼品・新商品開発支援事業で申請された商品は、「神戸ザックIMOCK(イモック) 里山サブⅡ26L」

ザックの必須条件である背負いやすさはもちろん、今回の商品開発ではトレンドを意識し、黒やグレーなど今まで登山用としてはあまり用いられなかった色のザックを製作。さらに、外側にはあえて内容物を見せるポケットやスマホ・タンブラー入れを付帯し、内側にはパソコンを入れる仕切りをつけて多機能性をもたせた仕様に。もちろん元来の丈夫さや耐水性などは兼ね備えた、今までありそうでなかった商品に仕上がっている。内容量に合わせて袋の大きさを調整できることも、このザックを背負う人に寄り添う作り手の思いが込められている。

前川社長は今回の商品開発で、環境に配慮した生地の端材を捨てない型紙づくりにこだわった。曲線の少ないデザインにしたのは、型紙で取った生地の端材を極力少なくするためだという。また、部品の管理にも徹底しており、「在庫ロス0・作業効率化」にも取り組んでいる。

型紙は、一枚一枚が筆記具とはさみで作られたもの。なかには、カレンダーの裏紙を使ったものもある。
勘と経験がなければ、商品の基礎となる型を手製で作ることは難しい。

また、その他商品から出る端材も余すところなく小物商品に転換することによって商品として生まれ変わらせている。

そして、これら商品の礎となっているのが若手クリエイターの皆さん。
「KOBE ZAC IMOCK」は、複数人の手が加わることで作られているのが特徴である。
足踏みによって針を進めるミシンは、足元での微調整が縫い目と生地の精巧さを決める。慣れた手つきでリズムよく生地を縫い進めるお二人は、入社して1年程度とのこと。
「商品をつくる喜びはどこに?」とお聞きしたところ、「街中で『KOBE ZAC IMOCK』を身に付けている方に出会うと、自分が縫った商品だ!と嬉しくなる」と笑顔で話してくれた。

ものづくり企業では、商品の一部を製造し完成品を見ることがないこともよくあるが、ここでは一枚の生地が完成品として仕上がるまでを目にすることができ、ものづくりの魅力をあらためて気付かせてもらった。

ふるさと納税・新商品開発事業で手掛けたALL Made in JAPAN「KOBE ZAC IMOCK」の新商品は、製造工程に隠されたこだわりや物語が付加価値となっている。商品の完成が待ち遠しい。

前川社長・若手クリエイターのお二人と (ビジネス開発部担当)