「いいものを出して、お客様とつながりたい。」 私らしいカフェを目指して。~二〇 (にじゅう)~

格子がある和風の店内に、木目調のカウンターと柔らかい店主の笑顔で招かれる空間。
入った瞬間に誰もが居心地の良さを感じる「二〇(にじゅう)」。 2024年6月にオープン。

専門家派遣:経営革新支援事業

【依頼事業者】
二〇(にじゅう)
代表 齋藤 文子 氏
Instagram (@kissa_niju) • Instagram写真と動画

【専門家】
カフェ ラヴニール 橋本 和也 氏

【専門家派遣の内容】
カフェ開業運営に向けた実践的なアドバイスなどの開業支援

実施後の専門家に対するコメント

マシンの手配やブレンドの作成、その他もろもろ創業するにあたり、重大な点をスムーズにサポートいただき大変たすかりました。今後の業界発展のために必要な方だと感じました。

カフェ経営を志したきっかけ

齋藤さんは九州のご出身で、鹿児島のホテル勤務時代にコーヒーに関心を持ち、独学で勉強を始めました。

コーヒー文化が根付く街「神戸」でコーヒーを学ぶために、3年前に退職して神戸に移り住み、ご自身の喫茶店を開くことを決めました。

こだわりのお店づくり

他にない私らしさを込めたお店づくりに徹底的にこだわり、カップは齋藤さんが気に入ったものを一つ一つ集めてきたものを使用。統一感のある内装デザインでほっとする空間を演出。

「二〇(にじゅう)」という店名の由来は、
「二重に重ねるという意味。いろんなことが重なっていいことがあるといいな、という思いを込めて、画数がよかったのでこの漢字に。」

看板商品の「二〇ブレンド」と「三〇ブレンド」は、今回ご支援いただいた橋本氏による焙煎。まるで、自社焙煎工場を持っているかのようなフレッシュな高品質焙煎豆を起用し、エスプレッソとフィルターとの抽出でお客様の好みに合わせて風味の違いを出しています。店内に広がるコーヒーの薫りは、何とも華やかでかぐわしいです。

専門家派遣について

橋本先生は、優れたものづくりの技術・技能の継承を図ることを目的に、全国的にも通用するハイレベルの技術・技能を持つ「神戸マイスター」として認定された、神戸屈指のスペシャルティコーヒーの技能者です。
<神戸マイスター> 
橋本 和也 | 食べる・飲む | 神戸マイスター | 公益財団法人 神戸市産業振興財団 神戸市産業振興センター

また、2024年度の「神戸セレクション」では橋本氏が手掛ける商品が選定されています。
<神戸セレクション>  
「神戸マイスター」橋本和也が焙煎するスペシャルティコーヒー – 神戸セレクション

カフェ業界に27年携わっている橋本先生は、
「カフェは提供する商品を通してお客様との信頼を築いていくものであるので、クオリティーの安定感がなくてはなりません。特に、コーヒーは100点満点でいえば『生豆の品質+焙煎の正確さで80点、抽出で20点』と言われることがあります。齋藤さんには、まず、この『抽出の20点』の部分について最大限に集中してもらいたいと思いました。」

開店までに、コーヒーの抽出をはじめとして実店舗でのオペレーションを指導。
派遣支援の途中に開店を迎え、実際に営業をしながら課題を見いだし、検証を交えながら進められました。

齋藤さんは、橋本先生からもう一つ学んだことがあります。
それは、『お客様目線でのサービスの提供』。

まず、営業をする中で見えてきた集客の課題解決として、地域性を考え朝早く7時からの営業時間に変更しました。朝食を食べる来店客を見越し、近隣他店にはない「おにぎりモーニング」を発案。
日替わりメニューで、体に優しい和食のモーニングを提供することにより差別化を図っています。

それから、お気に入りで収集したカップは可愛くて綺麗だが取っ手がなく、手に取ると熱が直接お客様の手に伝わり、飲むのには熱いのでは?と橋本先生からアドバイスを受けられたとか。

見た目は可愛いカップですが、手に取ったお客様は・・・

齋藤さんは、カフェ巡りやおうちカフェのような趣味としての視点でなく、自分がお店でお客様に提供する側であるという「立ち位置」に気付かされたそうです。

また、カフェではお客様との向き合い方もリピーター獲得には重要となります。程よい距離感を実践しながら掴んでいくために、あえて来店を望まないペルソナを橋本先生と検証しました。

「齋藤さんが提供する商品のファンを増やすことと共に、同業者に尊敬されるカフェ店主になること。これができてこそ一人前だと思います。」橋本先生からの一言に、斎藤さんも深く頷いていました。

二〇の未来

  • コーヒー好きなお客様とのお店づくり
  • 地元産の食材を使った食べて心に響くメニューの考案
  • 地域の方への認知度UP
  • 焙煎を学び、豆の性質やコーヒーの源を説明する

齋藤さんのチャレンジは、まだまだこれから続きます。

カフェ開業を志す方に向けたメッセージ

格子をしつらえた店内の様子

「自分だけのこだわり、考え方だけでカフェ経営に参入することは危険なこと。専門家の知見を借りてでも、やることをやってこそ、ようやく業績がついてくるものだと感じます。」

橋本先生からはこんなメッセージも。
「自店に来店されるお客様にとって〈よい〉店とは何なのかを常に考えてほしい。先人たちが残した神戸のコーヒ―文化を踏襲しつつも、いま目の前にいるお客様にとっての〈よい〉店をつくっていってほしいと思います。」

「私のお店でいいものを出して、お客様とつながりたい。」 齋藤さんが力を込めた言葉です。

専門家派遣により確立されたお互いの信頼感も、コーヒーを通してつながったもの。

橋本先生の焙煎豆で齋藤さんが丁寧に抽出したコーヒーは、お二人の人柄を映しているかのように驚くほどまろやかな味わいです。

◆二〇さんが利用した産振財団支援メニューはこちら

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