神戸から世界へ——「ろ過技術」で挑戦を続ける㈱アトラステクノサービスのものづくり
株式会社アトラステクノサービスは、工業用、食品用産業機械メーカーです。取扱製品はろ過装置と真空フライヤーに特化しており、創業以来30年近く技術を磨き続けてきました。ろ過機においてはインスタントラーメン業界では、シェアNo1を誇り、ろ過技術で顧客の課題を解決することで顧客の信用を得ています。
今迄は国内やアジア各国への輸出を中心に事業を展開してきましたが、昨今欧州からの引き合いも複数件あり、専門家派遣事業を活用して新しい市場への展開に向けた準備を開始しました。
企業情報
事 業 者 名:株式会社アトラステクノサービス
代表取締役:鯛かおる氏
所 在 地:神戸市西区神出町広谷407-2
設 立:1997年10月13日
事 業 内 容:
1)濾紙販売
2)食品加工機械・工業用機械の製造販売
3)各種機械・環境整備に関する機器の研究開発・設計・製造
4)これらに付帯する一切の業務
ホームページ
循環濾過装置・真空フライヤーの株式会社アトラステクノサービス

派遣専門家
VDEエキスパートエンジニア、Certified Machiery Safety Expert
中川 潤一氏 専門家情報はこちら
海外(欧州)展開へのチャレンジ
同社の真空フライヤーは、日本で製造できる企業がわずか数社という希少技術。海外からも問い合せが増え、最近では、AIチャットサービスに“日本で一番良い真空フライヤーメーカー”と紹介されたから、という問い合わせのエピソードもあるほど。長年努力を重ね、発信を着実に積み重ねてきた効果かもしれません。
欧州からも同社製品に関心が寄せられるようになる中、外国の法制度や安全規格を、中小企業がすべて理解して対応することは容易ではありません。とくに欧州の場合は、実質的な参入障壁とも揶揄されるほど、現地に拠点の無い企業、とりわけリソースの限られる中小企業にとっては対応が高いハードルとなっています。

欧州市場への上市に向けた対応で、外部支援が不可欠と判断した同社は、海外進出を後押しする公的支援窓口等に相談し、法制度の情報提供を受けたそうですが、「必要な助言を受けて自主的に取り組みたい」という希望を叶えることが難しく、神戸市内の中小企業を対象にした経営支援を行っている当財団にも相談されました。
法制度の解説だけでなく、「実際に機械を見て具体的なアドバイスが欲しい」というご相談を詳しくお聞きする中で、
「具体的に要求されることは何か」
「自社で対応できないことは、どこで頼めるか」など
数々の疑問を解消するには、欧州上市の事情に通じ、実務にも精通した、経験とスキルのある専門家の対応が必要だと理解しました。
そこで、中川潤一専門家の協力を得て、専門家派遣事業を活用した支援を開始しました。
チャレンジの成果
中川専門家の支援を受けて必要な対応の解像度が上がり、CEマーキング自己宣言が、取組の目標と定まりました。
欧州の安全基準を満たすCEマークは、一定の製品には貼付が義務付けられ、ロゴの仕様も公開されています。重要なのは、流通する製品が安全であることを「証明できる」体制づくり。証明には法制度の理解から外国語のスキル、試験結果などが必要で、そこに高いハードルがあることが、徐々に分かってきました。


7月から取り組みを始め、3月までで派遣指導は全10回が終了しました。
「専門家が新しい視点で問題提起してくれたことで、会議が活性化した」「自分たちでは見えなかった“改善の余地”に気づくことができた」など、取り組みはじめた副次的な効果もあったようです。
本支援は、欧州の最新の安全基準を学ぶ機会になっただけでなく、
- 営業・設計・製造が一緒に検討する時間になり、“横断的な議論”ができた
- 長年の「慣れ」に気づき、製品を見つめ直すきっかけが生まれた
など、社内コミュニケーションの活性化や、部門の壁を越えて品質意識を高めることにつながっています。
人手不足を乗り越えて——新たな可能性へ
人手不足、特に、熟練の溶接職人が慢性的に不足する状態が業界共通し、同社の悩みでもあったようですが、最近は、外部との協業で打開する道が開けたそうです。
協業のきっかけは、協業先(溶接職人を束ねる会社)が起業するはるか昔にさかのぼるといいます。協業先経営者となる若者と出会ったとあるいきさつから、鯛社長のもとに近況連絡が時々入るようになり、その細く長く続いた縁を手繰り寄せるように、人手不足を打開する協業が実現したようです。「採用が無理なら協業で」
現場で若手職人が活躍するようになったことで、同社の製造能力は向上し、受注を増やす余力が生まれてきたといいます。「今ならもっと作れる。だから、販路開拓にさらに力を入れていきたい」と、新たな事業展開への意欲が高まっています。


これから挑戦したい分野は?と伺うと、一つは、陸上養殖の水ろ過に言及されました。水は油よりもろ過が難しいという課題があるため、すぐにとはいかないものの、技術転用の可能性を追う姿勢に、同社の力強さを感じました。
まずは相談してみることが大事

鯛社長に、支援機関の活用の秘訣を伺いました。支援策がどんな使い勝手か、どこに相談したらいいかなど、経営者が相談しにくい状況はあるといいます。今回の支援を体験してた感想は、
「専門家派遣制度は思った以上に活用できる。まずは相談してみるのが大事」
「こんなに、我々に合う先生が来てくれたのはありがたい。」と、当財団が注力しているカスタムメイドの支援がフィットし、派遣事業の良さを実感していただけたようです。そして、希望する支援にたどり着く秘訣は、
- 「特殊な相談だから無理」と思わず、一度相談してみる
- 支援機関とつながりを持っておくと、必要な時に助けてくれる
などを上げていただきました。
支援の裏話
財団の専門家派遣制度は、市内のあらゆる業種の中小企業の皆様が抱える課題ひとつひとつに対応したカスタムメイドの伴走支援を提供できるのが特徴です。
今回のご相談を受けた当初は、「なかなか思うような支援にたどり着けない」と、お困りの様子でした。支援機関の間でも「やはり、中小企業が単独で取り組むのは難しいのではないか」という声が漏れ聞こえるほど、身近な先例や支援事例がない相談でした。
自社で取り組みたいが外部のサポートが欲しい、という場合にぴったりな支援策が、当財団の専門家派遣事業です。今回のケースでは、機械や電気に関する製品の規制や欧州の事情に精通し、欧州規格の実務が分かる現役の方で、机上で話をするだけでなく、実際に機械がわかる技術者でなければ対応が難しい。条件に合う専門家の登録がない場合は、専門家を見つけて登録していただく————。運よく、大阪に拠点を置く中川専門家にたどり着き、専門家派遣のご相談を快く引き受けていただけたことは幸いでした。
こうして、今回の支援をスタートさせることができました。
取材を終えて
この記事では、「小さな会社でも、挑戦し続ければ大きな可能性が広がる」そんな期待が膨らむ、プラス成長を志向する株式会社アトラステクノサービスの取組みを紹介しました。
「経営者の中には、使える制度が無いと思って、そもそも相談すらしない企業もあるのではないか」というお話をお聞きし、周知の大切さを感じました。この記事をきっかけに、「財団にちょっと聞いてみよう」と思っていただければ嬉しいです。
皆様からのお問い合わせをお待ちしています。
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対象:市内に本店のある中小企業
電話 078-360-3203(経営支援部、平日9:00~17:30)
