震災の記憶を未来へ繋ぐ、日本酒パッケージへの挑戦 〜日本テクノロジーソリューション株式会社〜
日本テクノロジーソリューション
デザインUPプロジェクトでは、企業にクリエイターを派遣し、企業の課題解決をサポートしています。
この度、このプロジェクトを活用し、特別なお酒「1995」のパッケージデザインが完成しました。

企業×クリエイター
【派遣先企業】
日本テクノロジーソリューション株式会社
代表取締役社長 岡田 耕治 氏
【派遣したクリエイター】
K note
代表 奥田 一明 氏
1976年創業。2001年より初の自社ブランド製品
「熱旋風式シュリンク装置TORNADO®」を発売
所属するデザイナー3名それぞれデザインを手掛け、多様なデザイン提案が可能
ホームページ:デザイン | K Note
:Kobe Creators Note
クリエイター派遣とは
令和6年度より開始した、デザインの力で付加価値を高める「クリエイター」を中小企業に派遣する、神戸市産業振興財団の事業。 この事業は、企業がそれまで付き合いのなかった“初めてのクリエイター”を財団が企業に派遣し、派遣にかかる費用の1/2相当を負担することで、企業のデザイン課題の解決支援と同時に、クリエイターの活用を積極的に後押しするものです。
熟成純米大吟醸「1995」への想い
1976年創業した日本テクノロジーソリューション株式会社。当初はブラウン管テレビの検査装置を主力商品として提供していましたが、日本ブラウン管工場が終息する前の2001年に初の自社ブランド製品「熱旋風式シュリンク装置TORNADO®」の販売を始めました。
現在は、“優れた技術を優れたビジネスに”をキーコンセプトに、パッケージ領域、メディア領域、パートナシップ領域などの事業を展開しています。


そんな中、兵庫県加西市に蔵を構える富久錦株式会社より阪神淡路大震災の年に仕込んだ熟成純米大吟醸「1995」のフィルムパッケージを託されることに。このお酒は阪神大震災が起きた1995年1月17日に仕込み、30年間熟成させた純米大吟醸。当時の想いはもちろんのこと、明るい未来を感じてほしいという祈りも込められた特別な商品です。
そこでパッケージには日本酒ラベルによくある和紙ではなく、シュリンク包装技術を活用したフィルム印刷を採用。またデザインは地元にゆかりのある方にぜひお願いしたいと岡田社長は考えていました。
K noteとの出会い
日本テクノロジーソリューションが神戸に本社を移転したのが震災後の2018年。社内で検討を重ねた結果、特別な年の日本酒のパッケージデザインはやはり震災を実際に体験したデザイナーさんにお願いしたいという話になりました。
そこで神戸市産業振興財団に相談したところ、デザインUPプロジェクトを活用し、神戸クリエイターズノートから公募で選ぶことを提案されました。そして、多数の応募者の中から、派遣するクリエイターとしてK noteが選定されました。
デザイナーの奥田さん曰く「震災時は西宮に住んでいましたので、当時の気持ちや地元神戸の想いなど正直にお伝えしました。デザインも大切だと思いますが、日本酒とその背景にあるストーリーに向き合いたいと切実に思いました」。


また岡田社長も「30年間の月日の中でたくさんの想いが詰まった日本酒なので、それをしっかりとデザインできること。また次の30年後となる2055年へのメッセージも込めたいという想いもあったので、そちらを表現してくれる方であることが条件でした。K noteの奥田さんには、富久錦さんと私たちの願いをカタチにしてくれるのではないか、と直感しました」と当初の想いをお話いただきました。
デザインへの想いやこだわり
K noteのこころさんに制作のエピソードを伺うと「“震災復興”と“高級感”をデザインで表現してほしいというご希望があったのですが、この2つは私の中で真逆のイメージでした。復興というのはこれから盛り上げていこう!という元気な“赤や黄色”。高級感は格式高く重厚感のある“黒”。チーム内で意見を聞き、結果的には型にハマらない自由な発想につながったのでよかったです」。


また曜子さんにデザインへの想いを伺うと「K noteは、1人ではなく3人のデザイナーが多種多様にアイデアを出し合うので、デザイン案はたくさん提出させていただきました。理由としては、各々のデザインを否定するのではなく、生かす方向性で進めていきたかったからです。また富久錦さまからの“震災は非常につらいできごとだったけど、30年たった今、せめてお酒を交わしながら笑顔で過ごしてほしい”というメッセージが印象的だったので、それを受け継げるようなデザインを心がけました」。
30年後の未来を見据えて
完成した「1995」のパッケージは高級感溢れる黒マットを基調としたフィルムに「三十年酒」という箔押しで、金属の箔ならではの光沢を演出。またボトル中央には「You’re unlimited」の文字を入れ、無限の可能性というメッセージも込められています。30年間深い眠りについていた日本酒だからこそ、今後30年後の未来が希望の光に包まれますように。そんな強い願いが感じられるプレミアムな存在となりました。

R6年度 デザインUPプロジェクト
企業からのデザイン課題解決のご相談に応じて、クリエイターを派遣するデザインUPプロジェクトを随時実施しています。デザインUPプロジェクトの詳細を見る
デザイン課題以外の企業からのご相談に応じて、登録専門家を派遣する専門家派遣も行っています。
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本プロジェクトは、神戸クリエイターズノートを通じて公募を実施しました。
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